一般的に異なる地点間を結ぶネットワークはWide Area Network(WAN)と呼ばれます。例えば企業の拠点間や学校のキャンパス間を結ぶネットワークはWANということになります。当初WANは専用線やフレームリレーで構築されるのが一般的でしたが、それらは徐々にMPLS-VPNや広域イーサーネットサービスなどに置き換えられていきました。当初はさほど大きな問題はなかったWANですが、ネットワークがビジネス上不可欠なツールとなり、拠点数が増加してくると、拠点開設にかかる時間がビジネスが求める俊敏性に応えられなくなってきました。また、グローバル化に伴い、拠点は国内だけはなく海外にも展開されるようになり、回線費用や回線品質などが問題になってきました。広帯域を必要とするアプリケーション(ビデオなど)を使うニーズも増えてきましたが、狭帯域な従来のWANでそれを実行するのは非現実的でした。
これらの課題を解決するために生まれてきたのがSD-WAN(Software Defined WAN)という技術です。回線コストの削減と広帯域化を図るために、従来のMPLS回線に加えインターネットを活用します。ただし、帯域保証のないインターネットだけでは今日のビジネス要件に応えることはできないので、複数の回線の品質をモニターしながらSLAを満たす回線のみを使えるような機能が提供されています。 また、特定のアプリケーションのトラフィックだけ拠点から直接インターネットに抜けるようにして、高額なMPLS回線の使用を抑え、クラウドやSaaSアプリケーションに最適化されたネットワークを提供することができるので、まさに「クラウド時代のWAN」ということができます。