安井智志のMSクラウド導入の勘所(Office365編 改めM365編)第1回/全3回

皆さん、こんにちは。マイクロソフトクラウド担当の安井です。

早いもので、前回のコラムでOffice365やEMS(Enterprise Mobility +Security)、出たばかりのMicrosoft365(以下、M365)のことを書いてから1年以上の歳月が流れました。言うまでもなくクラウドサービスですから、この一年半ほどの間に色んな変化がありました。仕様変更や機能アップデート、周辺環境も大きく変わりました。今回は過去の記事を適切に修正するという目的を兼ね、3回ほど追加でコラムを復活したいと思います。

 まず、Office365のサービスについては、当社の三島がTeamsやPowerApps、Flowなど、現在旬のサービスを軸とした活用コラムを書いておりますので、そちらをぜひご覧ください。また、これらの活用にご興味があればぜひ当社までご一報ください。

ですので、私の方では、直近1年間のEMSやM365についての変更点やトピックについて書きたいと思います。ちなみに、EMSやM365がどんなものかという話しについては、この後も簡単に記載してきますが、前回コラムの方もぜひご覧頂ければと思います。

1.EMSについて

まず、本コラムでのEMSはEMS E3を対象にします。単純に、使いこなすのが難しくて特定のユーザニーズに対応するE5の機能よりも、必須機能ばかりのE3の方が多くの人にメリットがあると思うからです。もし、今回のコラムに記載のないサービスや各機能の詳細説明が必要でしたらぜひ個別にご相談下さい。

今回改めて確認しましたが、EMSがもつサービス内容は、前回コラムでお話しした時からほとんど変わっていませんでした。やはり地味にWindows10の機能更新に合わせてIntuneの管理機能が強化されたり、設定項目が増えたりという変化が中心となります。また、これらを設定・管理するAzureポータル(IntuneやAzureAD等)の画面周りも見易く・分かり易く改善されています。

2.M365について

EMS自体は定常的な機能面のアップデートのみとなっていましたが、EMSが含まれるM365については大幅な仕様変更が発生しています。このあたりのお話しは、次回2回目に詳しくお話しします。(今回は触りだけ)

まず、M365 Enterprise(E3)を見ると、サービス内容はほとんど変わっていませんでした。Windows10 Enterprise周りの機能は、これまたWindows10の機能更新に合わせてかなりの進化を遂げています。

EMS(E3)が含まれるMicrosoft365 E3の構成要素はほぼ変更ありません。

では、導入当時EMSの簡易版(機能制限版というべきか?)が含まれていたM365 Businessはどうでしょうか?

こちらの方は、恐るべき進化?を遂げていますね。ほぼ当初の原型がなくなるくらいの勢いです。詳細は2回目以降で。

では、細かいお話しの前に、まずは直近1年ほどのOffice365を取り巻く環境変化として、MS製品全般の動きを振り返りたいと思います。

3.MS製品のマーケティング戦略上の変化

最近のMicrosoftは意図的にOffice365という名称を封印し、Microsoft365という名称を前面に出して、あたかも切り替わったかのようなマーティングを行っています。普通に考えれば、Office365とM365が提供するサービス範囲は異なるので置き換わらないのですが、これはマイクロソフトが “Office365だけを導入するという従来当たり前であった思考や前提をなくしたい” という意思表示です。その第一の理由として、マイクロソフトもたびたび言っていますが、「Office365はもう何もしなくても勝手に売れていく製品」になっているからであり、Office365という従来のOfficeパッケージとごっちゃになる名称は無くしたいのだと思います。

先日行われたマイクロソフトのイベント(Inspire2019)の話を聞く限り、Office365のコンポーネントに関しては、Microsoft Teamsを中核にあらゆるものを繋げて連携させていく「Teams押し」が展開されていく模様です。また、その連携対象として、さらなるモバイル活用を促進するPowerPlatform(PowerApps、Flow、PowerBI)やDynamics365、Azureの各種サービスも注力対象に入っています。ここでも共通して言えるのは、“Office365だけを単体で利用するのではなく様々なものを連携して活用していく”という思想です。

もともとOffice365に対する包括的なセキュリティ対策がEMSでした。と言うことは、Office365という名称の露出を減らしていくのであれば、EMSに対しても同じことをしたいのかもしれません。(EMSはあくまでM365に内包された1つの機能に過ぎないと。)これは言うまでもなく、Office365導入済みのお客様に対して、EMSをアドオンで導入する従来シナリオではなく、M365に切り替えるシナリオに変えていきたいということです。

ここまでにお話しした「Office365」&「EMS」に「Windows10」を加えたものが、皆さんご存知のM365という製品なのですが、この中でM365の販売の足を引っ張るかたちになっているのがWindows10です。OEM前提の国内では、ほとんどのユーザがWindows OSは別途購入するものではないという認識でおり、Enterpriseまで必要はないと思っています。ただ、M365が現時点で今一売れていない理由はそれだけではないと思っています。

4.M365の検討と導入が進まない理由は?

これについては様々なお客様との会話や状況からの私の推測です。現時点でM365はお世辞にも売れていませんが、おそらく来年以降、一気に切替えが加速する可能性があると考えています。

まず、売れていない理由の一つ目は、単純に「サービス範囲が広くて深い為、理解するのが難しい」という点です。これは説明する立場の私自身も、説明手順や方法など反省すべきことが多々あります。

二つ目は、「Intuneの機能がまだ発展途上であり、実現できる機能が明確にユーザに伝わっていない」点です。急ピッチで進化するのは良いのですが、何がどこまで出来るのか運用が回るのか等、ベンダーも含めて導入事例が少ない為に判断がつかないのです。また、Windows10の展開作業で皆さんが期待したAutopilotについても、現段階でも各メーカーがデバイスIDを事前発行するような動きになっておらず、管理者が未開封の状態で社員に送付して作業完了というイメージは未だ実現出来ていません。

三つ目の理由は、「Intuneが管理対象にできるPCがWindows10以上である為、単純にWindows10の展開完了を待つ必要がある」点です。AutopilotがWindows10の展開に使えないという実情に加え、Intuneの最大の優位点であるWindows10の管理は導入後の話しなので、なかなか最初からM365を導入するという話になりません。

昨年後半より、一部のお客様から「Windows 10のUpdate管理やポリシー配布をIntuneで行う前提で、Windows10化を進めて行きたい!」という依頼を頂くことが多くなりました。しかし、大方のケースで「従来型のWSUSベースの運用でまずは安定運用まで乗り切ろう。」という最終判断になります。これは先に述べた運用事例が少ないという点と、単純なIntuneの機能不足(例えば、WSUSのような管理ダッシュボードがなく状態把握ができないなど)によるものです。実際これについては、現在マイクロソフトが提供しているUpdate Complianceという無償のサービスを併用することで一部実現するシナリオが出来ています。ただし、このUpdate Complianceもそれなりに使えるようになったのは最近の話しであり、どのユーザも端末展開と並行して検証を進めるのは避けたいという話になり、クラウドによる管理は導入見合わせになります。

また、EMSの導入目的の一つであるAzureAD Premium Plan1に含まれる “条件付きアクセス”(様々な条件に応じてアクセス許可を与える機能)に関してもWindows10が動作要件となっている為、Windows10化が前提になっています。

5.まとめ

ここまで色々とお話ししましたが、以上を纏めますと ”Windows10化が完了し一段落した来年以降、Office365からM365への切替えを検討されるユーザはかなり増える” と想定しています。Windows10をEnterpriseに変える負荷はそこまで大きくありませんし、逆にWindows10の管理機能・セキュリティ機能は格段に向上します。また、IntuneやUpdate Complianceの管理機能も拡充が進んでおり、Defenderのみで運用したいというユーザも多く、そろそろ動き出すタイミングです。その為、弊社では現在、先にお話ししたIntuneやUpdate Compliance等のサービスの運用レベルの検証などを地道に進めているところです。もしご興味があれば当社までご連絡下さい。

次回2回目は、M365(EMS含む)に施された各種仕様変更について詳細に見ていきたいと思います。引き続きお付き合いのほどよろしくお願い致します。

※マイクロフト・クラウド・ソリューション一覧については、以下をご覧ください。
https://www.si-jirei.jp/microsoft/

※本コラムは2019年7月26日時点の情報をもとに書かれています。

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