向坊敦のRPAコラム「RPA導入の進め方のポイント」

  • 2019/1/30

こんにちは。ディーアイエスソリューションの向坊です。少し前まではRPAのツールにはどのようなものがあるのか、どのような活用方法が多いのか等、情報収集の段階の企業が多かったのですが、最近は具体的に導入に向けて検討を進めようとしている企業が増えているように感じます。そこで今回のコラムでは「RPAの進め方や検討事項」について取り上げることにします。

RPAと従来のシステム開発との進め方の違い

従来のシステム開発では、導入前にビジネスプロセス等を徹底的に分析し、効率化してからシステム導入を検討することが一般的でした。なぜ、このようなアプローチ方法と取っていたかというと、システム開発はアプリケーションが完成した後に業務プロセスが変更になると、それに合わせたシステムの修正に大幅なコストがかかってしまうためです。このアプローチは正攻法ではありますが、調査や業務改革に時間と費用がかかるといったデメリットがあります。

一方、RPAは開発期間が短く、修正も容易であるため、試行導入や部分導入を経て、徐々に固めていく事ができます。導入前に業務を徹底的に分析するのではなく、スモールスタートで試行導入や部分導入を経て、徐々に固めていくアプローチのほうが成功しやすいといわれています。

図:RPA導入の考え方

「調査・試行」段階のポイント

調査・試行段階ではまず「RPAツールの調査・選定」を行います。RPAツールを操作する人がIT系に強い情報システム部門なのか、普段メールやExcelしか使わない現場の方なのかによって、選定するRPAツールや必要となるサポートが変わってきます。例えば、RPAツールの操作の難易度が自社で使えそうなレベルなのか、RPAツール自体の信頼性はどうか、ベンダーのサポートの充実度、管理・統制ツールの有無などを調査します。

それ以外に必要なことは「教育」があります。RPAツールは何でもできる万能なツールではありません。比較的操作が簡単なものでも、何も教育せずにRPAツールを現場に配布すると失敗します。パソコンのどのような操作であれば自動化できるのかを把握しておかないと、実際にRPAツールで自動化しようとしたタイミングで思ったように動かないという事態になります。また、マニュアルや研修などが充実しているかどうか、RPAツールの使い方以外に学習しておくべきことが無いかなども確認します。

RPAツールで自動化する対象業務の選定については、候補を多く出すための工夫として「頻度」や「業務パターン」というような様々な視点で業務を洗い出してみるのも1つです。例えば「頻度」でいうと、日次・週次などで行う業務は何か?年末などの季節性があり一時的に大量発生する業務は何か?という視点で洗い出します。また、「業務のパターン」の場合では、「登録やダウンロード、照会操作を繰り返す業務」や「複数のアプリケーションやファイルにまたがって行う「業務」というような視点で洗い出しを行い、その中からRPAで自動化すると効果がありそうな業務を調査します。また、人手による入力ミスが発生した場合には、その操作をRPAツールで代替することで解決できないかを考えてみても良いと思います。

最後に「効果測定」をどのようにするかもあらかじめ検討しておいたほうが良いでしょう。RPAによって人手の業務が自動化されたかは、次の方法で算出します。

例えばこれまで年間1000時間かかっていたものを、RPAにより100時間になった場合は、下記のような結果になります。

「部分導入とルールの整備」段階のポイント

調査・試行のフェーズが終了すると、実際の現場部門でRPAのシナリオの利用や、追加のシナリオを作成する段階に入っていきます。シナリオの利用は、社内で初めての本番利用となりますので、いきなり全社展開するのではなく、利用部署を絞るなど最初は部分導入を検討したほうが混乱なく進められます。どの部署にするかは、調査・試行で協力してくれた知見豊富な部署にしたほうが、RPAの効果を実感し、継続利用を望むケースが多いといわれています。部分導入の段階で対象部門に困りごとや要望、提案をどんどん挙げてもらうことで、今後の全社導入ルールの策定段階での基礎情報となります。

体制に関しては各社のポリシーによって異なってきます。全社の利用ルールの作成や運営を行うRPA推進部門を設置する場合もあれば、現場の裁量に任せ、推進部門を設置しないという判断もあります。推進部門を設置しない場合でも、導入に積極的なユーザ部門を支援できるよう、社内システム部門内にRPA相談窓口を設けておくことで、RPAの利用が普及しやすくなります。

利用ルールやガイドラインについては、シナリオ作成前後の社内審査の手続き、RPAが適用できる業務範囲の許可条件、トラブルが発生した場合の対処方法、シナリオの管理方法などを整備します。

今回はRPAの進め方や検討事項についてお伝えしました。まだRPAツールを触ったことが無く、社内で業務の棚卸を行っている方は、まずはトライアルでRPAツールを触ってみては如何でしょうか。

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