シスコシステムズ 大野 元嗣氏によるコラム最終回「チーム協働作業による未来の働き方」

本連載も最終回になりました。今回は、企業の皆様がICTの有効活用により、業務課題の解決や生産性の向上・残業時間の短縮を図り、ワークライフ バランスを実現するより良い働き方へと変えていくためのヒントをお話しします。
筆者は、シスコシステムズで「ICTによる地方創生」と「リテール・ホテル向けICTビジネス開発」の担当として、地方の中小企業経営者の方々と会話をする機会が多いのですが、中でも人手不足が声高に叫ばれている「サービス現場の働き方とICTの活用方法」に注目して話を進めていきたいと思います。


=チーム協働作業による未来の働き方=
連載初回から、ICTやテレワークを活用しながら、ホワイトカラーだけでなくサービス業の現場にも働き方改革をどう取り入れていったらいいかを模索してきました。
欧米に比べ日本のサービス業の生産性が低いとされているのは、労働時間に対して利益が低いからであり、利益が向上できれば生産性は上がるはずなのですが、まだまだ電話やFAXによる生産性の低い業務処理を続けているのではないでしょうか。

人手不足が進む現場を救うべく、人材確保のためにサービス業や物流業の人件費は上昇傾向にあります。日本経済新聞社によると17年冬のボーナス調査では外食・その他サービスは3.62%増とプラスに転じ始めているそうです。人件費上昇対策としてサービス料金等の値上げを余儀なくされている現状は、消費者側から見ても過剰サービスであったことを改めて意識することになりました。

飲食/宿泊業には、昨今のインバウンド客急増による特需も期待される中、同時に迫る人手不足は、首都圏よりも地方都市で大きな課題となり始めています。給与が上がれば人員確保もし易くなるのですが、絶対数として労働生産人口の少ない地方は、給与面の改善だけでなく、現場の生産性を上げることが急務となっています。

インバウンド客や今後のサービス業を考えた場合、キャッシュレスがポイントとなります。日本人は現金への信頼が高いため、現金を持つのは普通ですが、韓国や最近の中国ではキャッシュレスが当たり前の文化となっています。VISAの調査によると、現金払いよりもクレジットカード利用客のインバウンド消費単価は約38%大きいという結果もあるそうです。実はこの効果は売上増だけでなく、お釣りを出す手間や現金を数える時間が減る・ミスが減ることによる省力化や、キャッシュレス端末+POS採用によるデータ入力作業減、銀行とのデータ処理連携による業務効率化が進められ、高い生産性向上が期待されています。それらバックオフィスの業務処理時間が短縮されれば、更に接客時間を増やす事が可能となるはずです。

加えて、住宅宿泊事業法(民泊新法)も成立し、接客不要の宿泊施設も増えていくことが予想されます。消費者の立場では、おもてなしサービスを価値提供とした高級宿泊施設と、人によるサービスの無い割安宿泊施設のどちらを選択するかということです。日本人の高齢層がたまに口にする「この店はサービスが悪い」という言葉は、過去の日本において「サービス=無料」という文化があったからですが、ファストフードに馴染んだ年代になってくると「サービス=有料」という欧米的文化を理解しており「サービスは客側の選択」という意識改革が根付いています。従って、個人旅行者が増えてくるこれからは「コト消費」をいかに伸ばしていくかがカギであり、お客様ひとりひとりに応じた適切で最良のサービスを提供することができれば、よりその対価を確実に得ることができると考えます。

更にその先を考えていくと、少ない従業員で高付加価値サービスを維持する必要が生じてきます。そのためには、分業して単純作業にしてしまったこれまでの業務プロセスを再度見直し、多能工化を進めるしかありません。そうすることで、閑散時には最小のリソースで接客に対応し、ピーク時は一部業務を切り出して、臨時に人手を確保する等、状況に応じて柔軟に対応することが可能となります。

しかし一人の力だけで多種多様の業務をこなしていくということは、一時的に生産性が上がったとしても、従業員としての忙しさは増していきます。一日中ありとあらゆる業務に忙殺され休憩も満足に取れないというのは、充実している反面、業務継続性に問題が生じます。いかに効率よく仕事を捌くかだけでは、働くモチベーションを維持することができません。
日本で生産性が高いとされている製造現場を見てみると、「改善」の名のもとに、製品の品質向上だけでなく、製造工程の省力化、次工程が作業をしやすい半製品の引き渡しなど、部分最適でなく全体最適を考え、従業員全体で、チーム・工程間との連携(コミュニケーション)をとっていくことで実現してきました。

サービス業においても、チーム一丸となって、互いにフォローし合いながら、お客様の立場になって考え、サービスの工夫やおもてなしを提供し、お客様の満足度向上を実現することが可能となります。第四回でお話ししたように、最新のチーム コラボレーション ツールを活用すれば、チームは必ずしも現場でなくとも在宅勤務やリモートワーク、アウトソース先や取引先まで含めてリアルタイム コミュニケーションをしながら、最高のアウトプットやサービスを提供することが可能となってきています。
働く側としても、距離や場所、時間にとらわれない働き方を実践することができれば、自らの持つ知識や能力をいつでもどこからでも、複数タスクに分割して提供することができるようになり、効率良く仕事を進めることが可能となります。

日本は世界一、労働者の高齢者比率が高い国になりました。サービス品質の低下も危惧され始めています。この日本の現在は、韓国や中国にとっての未来であり、固唾をのんで見守っています。これから先は、働ける全ての年代が、各々の働ける時間(ワーク ライフ バランス)に応じて、距離や場所、時間、会社を越えて、チーム メンバーとして同じ目標に向かって協働していく形が「未来の働き方」になるでしょう。

サービス現場での働き方改革は、これから沸き起こる地方の人手不足問題に備え、善後策を講じることが急務です。現場スタッフであったとしても、チーム コラボレーション ツールやICTクラウドサービスを活用し、チーム力を結集したコミュニケーション改革にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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