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仮想デスクトップコラム第8回 VDI構成のキモとなるストレージのお話し①
- 2015/9/3

今回は、前回お話しをしたサイジングの中で 、技術的にもコスト的にも最も重要性の高いストレージに関して、2回に分けてお話しをさせて頂きます。
VDIに特化した話しの前に、まず仮想環境下での共有ストレージ全般の採用ポイント、注意点等について、わかっているようでわかっていない点を中心に述べていきます。
◆ストレージの基本
仮想化が広く普及する中で、ストレージの利用はごく一般的になっています。その為、ここではおさらいとして、基本的な特徴を踏まえた概要についてお話し致します。
1.ストレージの種類と特徴
ストレージには、大きく、従来から仮想基盤のストレージとしてメジャーな 「SANストレージ」 と
昨今仮想基盤のストレージ用途として増えつつあるNASストレージに分類されます。
各々ストレージの特長や代表選手は以下の通りです。
色を付けて記載している部分が大きく異なる部分です。「SANストレージ」はブロックデータを格納する単なる箱に過ぎないのに対し、NASストレージは独自のOSを搭載し、データをファイルとして認識します。
しかし、仮想マシンの格納方法に大きな違いはあるものの、仮想基盤の共有ストレージとしての基本機能はほとんど変わりません。
2.SANとNASどちらのストレージを選択すべきか?
どのような要件や課題を解決したいかにより、選択すべきであるというのが回答です。
仮想化の基盤ストレージとしては、前述した通り、SANストレージの採用が大部分を占めています。その一番の理由は、仮想基盤の共有ストレージとしてはSANの実績が圧倒的に多く、実装が確実であるという点です。ストレージに求められる第一の要件はホストに対して確実にディスクを提供するという「信頼性」であり、ストレージに多くの機能を持たせることはナンセンスであるという考えが少なからず残っています。
それでも昨今、その機能や利便性の高さでNASストレージを選択するケースが多くなっています。その理由と選択するメリットを確認していきましょう。
3.NASストレージが選ばれるケース
1)格納する仮想マシンの対象に大容量のファイルサーバが含まれている場合
2)NASストレージが持つ様々な機能が発揮できる利用用途(VDI用途など)
まず、仮想環境の中に、大容量のファイルサーバが存在するとどのような弊害があるか考えてみましょう。
※ファイルサーバが含まれる仮想環境の一例
【問題点①】
昨今、ファイルサーバのデータは肥大化傾向にあり、企業の所有するデータのうちのほとんどがファイルサーバであることが少なくありません。仮想化 にすることによるメリットの一つに「可搬性」がありますが、仮想マシンが大容量化してしまうと、そのメリットが享受できないばかりか、逆に取り扱いが面倒 な存在になります。技術的には最新のvShpereでは大容量の仮想マシンを作り易くなりましたが、以下のコスト面を含めてあまりメリットがありません。
【問題点②】
仮想基盤の共有ストレージはパフォーマンスや信頼性を考慮する為、通常SASディスクを採用することがほとんどです。SASディスクはSATAディスクに比べ、1本当たりの容量が1/5程度であるにも関わらず高価である為、自ずと高額なストレージとなります。ファイルサーバだけディスク種別を分け、その他のサーバとプールを分けて管理することも可能ですが、非効率で運用が煩雑になってしまいます。
【上記問題の解決】
そもそもファイルサーバは仮想基盤に含めず、その他サーバだけを対象とした小規模な仮想環境を構築するという方法があります。昨今では、将来的にパブリッククラウドへの移行を検討しているお客様も多い為、単に社内サーバを集約する目的の仮想基盤は出来る限り小さく構築する方が望ましいと考えます。
もう一つの方法として、上述のNASストレージを採用し、ファイルサーバはヘッドサーバを経由することなく、直接ユーザにファイル共有領域を提供する方法です。そうすることで、無駄にサーバ側のリソースを消費する必要が無いばかりか、ストレージが持つスナップショットやレプリケーションの機能を利用してシンプルな環境構築が可能です。
一例として、弊社でご提案しているNASストレージ(NetApp社 FAS2500シリーズ)であれば、6TBを超える大容量のSATAディスクをベースとしながら、信頼性の高いファイル共有サービスの提供と、独自のファイルシステムとキャッシュメモリの組み合わせによる高いパフォーマンスを実現することが可能です。今回のようなケースでは最適と言えます。
詳細については、本SI事例サイト内の、NetAppストレージの紹介ページをご参照下さい。
https://www.si-jirei.jp/server/netapp/
次回は、もう一つの「NASストレージが持つ様々な機能が発揮できる利用用途(VDI用途など)」と、
「SANストレージとNASストレージの各々注意点」についてお話しさせて頂きます。